この記事ではゼネコン設計部と組織設計事務所の違いについて書いています。

組織設計事務所とゼネコン、どちらに就職したほうがいいんだろう?
といったように、大規模建築の設計を目指す学生ならば迷っている人も多いのではないでしょうか。
この2つ会社の違いをしっかりと押さえて就活をするために、社会人目線で大事な3つのポイントを解説していきたいと思います!
アトリエ設計事務所との違いについては別の記事をご覧ください。

ゼネコンと組織設計事務所のメインの仕事内容を解説
ゼネコンと組織設計事務所の仕事にはどんな違いがあるのでしょうか。
簡単にいうと
- ゼネコンは施工がメインの会社
- 組織設計事務所は設計を生業とする会社
という違いがあります。
それぞれ詳しくみて行きましょう。
ゼネコンは施工がメインの会社
日本におけるゼネコンの定義として、「建設工事分野において総合請負ができる会社のこと」を指します。

ゼネコンとは施工がメインの会社なんです。
極論を言えば、設計部が無くても会社として成立してしまうのがゼネコンなんですね。
それなのになぜゼネコンに設計部があるのかを意識すれば、自ずとゼネコン設計部の特徴は見えてきます。
ゼネコン設計部は、
- 早い段階から施工を見据えて設計している
- 短期間・ローコストでクオリティの高いものを求める
- 効率化が最重要
ということが求められます。
そのためには、設計段階から施工の知識を持った人が関わりながら、スピード感を持って設計を進めるイメージです。
設計職だけど施工にも興味のある人はゼネコン設計部が向いています。
組織設計事務所は設計を生業とする会社である
組織設計事務所には施工部署がありません。

会社が受注する仕事のほぼ全てが設計業務となります。
よって、設計への知識や技術力に加え、企画力を生かしてコンペに参加する機会が多いのも特徴です。
発注者と仕事をする期間もゼネコン設計部に比べて長い場合が多く、
- 基本構想
- 基本計画
と呼ばれる、発注者と一緒に事業を考えるような早い段階から仕事をする場合もあります。
アイデアを形にする基本設計までを設計事務所が設計し、施工技術の観点が必要になる実施設計からゼネコンが担当することもあります。
事業の早い段階から携わりたいという方は組織設計事務所が向いているでしょう。
ゼネコンと組織設計事務所は会社の大きさもちがう
ゼネコンは大企業
ゼネコン大手5社を指すスーパーゼネコンの従業員数は7000人〜10000人、中堅規模でも1000人以上と、ほとんどが大企業です。
メリットとしては、従業員が多い分、給与や福利厚生は手厚くなります。
同期がたくさんいることも若手のうちは嬉しいポイントですね。
デメリットとしては、大企業ならではの全国転勤や希望しない部署や現場への異動などが挙げられます。
建築業界に限られた話ではないですが、

大企業は基本的に一社員の意見は通りづらくなります。
全員のわがままを聞いていたらキリが無いですからね。
組織設計事務所は中企業
最大手の日建設計やNTTファシリティーズなど例外はありますが、大手〜中堅以上の組織設計事務所は1000人に満たない会社がほとんどです。
メリットとしては、ゼネコンとは逆に、発言が通りやすいと言う点が挙げられます。
支店や部署の異動希望も聞き入れてもらえることが多く、この物件やりたい!と言えば状況を見て担当させてもらえるという話もたくさん聞きます。
デメリットとしては、会社規模が小さい分給料や福利厚生はゼネコンに劣る点でしょう。
ゼネコンと組織設計事務所の給料・福利厚生は違いが大きい
ゼネコンと組織設計事務所の給料・福利厚生の違いを表にまとめてみました。
ゼネコン | 組織設計事務所 | |
給料 | スーゼネ:900万 中堅:700万 | 550〜700万 |
福利厚生 | 産休・育休の手当て 社員寮なども充実 | 大手企業グループに属する企業 以外は最低限のところが多い |
給料・福利厚生面だけで言えばゼネコンが完全上位互換となります。
日本の平均年収をみても432万円(2018年)なので、どちらにせよ平均年収よりは高い給料をもらうことができます。
出典:国税庁
ゼネコンは基本的に高給・安心の福利厚生
一般的に中堅と呼ばれるゼネコン以上でしたら組織設計事務所より給料・福利厚生が良いことが多いでしょう。
スーパーゼネコンの平均年収はどこも900万円台となっており、日本でもトップクラスと言えます。中堅だと700万円程と、規模によって差はありますが、平均以上の水準です。
なぜ給料が高いかと言うと、施工で得た収益が大きい場合はその分ボーナスが高くなることが多いからです。
福利厚生については、社員数が多い為、社員寮等も完備されている会社が多く、産休・育休の手当ても充分にもらえます。
長く勤めることや、将来家族を持つことを考えるとゼネコンの待遇は魅力的です。安定志向の人はゼネコンを選ぶと良いでしょう。
組織設計事務所はゼネコンと比べると見劣りする
組織設計事務所の給料は平均以上の事務所がほとんどとなっています。
- 入社1年目から基本給が高めに設定
- 将来的な伸び率は出世次第
という印象です。
福利厚生もゼネコンに比べるとあまり良く無いです。
福利厚生を気にするのであれば、大手企業グループに属する
- NTTファシリティーズ
- 三菱地所設計
などはグループ会社の影響で福利厚生が整っている場合があります。
知識として知っておきましょう。
ゼネコン設計と組織設計どちらに就職すべきか
仕事に対する自分の中の優先順位を元に決めましょう。
- 設計だけやりたいのか
- 給料はどれくらい欲しいのか
- 働く時間はどれくらいまでがいいか
- 自分の強みが活かせるか
このようなことを考えてみましょう。
その上でどんな人が向いているのか解説して行きます。
ゼネコン設計部への就職が向いている人
このような方はゼネコン設計部に向いているといえます。
- 設計職だけど施工にも興味がある人
- 大企業でもやっていけるガッツのある人
- 給与や福利厚生面で安定した生活を送りたい人
安定思考の方や幅広い人たちと関わりたい人がゼネコンに向いている傾向があります。
就活の情報として、

大学の偏差値やSPIと呼ばれるテストで足切りなども行われます。
それゆえに時間をかけたきちんとした対策が必要です。
組織設計事務所への就職が向いている人
このような方は組織設計事務所に向いているといえます。
- 事業の計画段階から携わりたい人
- 提案力を生かしてコンペなどで活躍したい人
- 大企業の荒波に揉まれるよりも、中規模の会社で働きたい人
基本設計や構想の段階から設計に関われるのがかなりポイントとなると思います。
ゼネコンに比べてハードワークになることが多いです。
それでもこだわって設計がしたいのなら組織設計事務所を選ぶのがいいでしょう。
組織設計以上にデザインにこだわりたいという人はアトリエ設計事務所という手もあります。
この記事でも紹介しているので参考にしてください。
自己分析をして自分にあった企業を受ける準備をしよう
自分にとって何が大切なのかを一度確認してから決めるようにしましょう。
- 設計だけやりたいのか
- 給料はどれくらい欲しいのか
- 働く時間はどれくらいまでがいいか
- 自分の強みが活かせるか
など、しっかり考えることでやりがいのある未来が見えてきます。
就職した後にやっぱり合わなかったとなると再就職も大変です。
どうしたらいいかわからない人は無料で行える自己分析ツールなどもあるので利用しましょう。
こちらの記事で紹介しています。

進みたい方向性が決まったら、ポートフォリオや即日設計の練習を始めましょう。
早い段階から動けば大手企業でも十分に対策できます。

自分の将来を決める大事な時期です。
後悔のないようしっかり対策しましょう。