この記事では建築学生向けに手書きパースをかく手順について紹介しています。
設計の授業もおわりに近くなってくるとプレゼンを作りますよね。
- 建物の魅力を伝えたいけど図面しかおわってない
- 殺風景なプレゼンボードになってしまう
- 相手に分かりやすく伝えたいけど模型を作っている時間はない
- 模型もスケッチも苦手
ということに陥りがちですよね。

実は平面パースは図面があれば手書きですぐに作成できるんです!
空間把握もしやすく、絵のセンスが無くても単純な作業で作成することができます。
この記事を最後までよんで、確実に平面パースの書き方を覚えましょう!
パースを書く上での練習方法や道具についてはこちらの記事で紹介しています。

平面図から建築パースを手書きで表現する全手順
今回は、この平面図(平成29年度2級建築士製図試験回答例)を参考にし、進めていきます。

慣れるまでは全て鉛筆やシャーペンで書き
最後にペン書きとする事をお勧めします
(この記事では見やすくするためにペン書きしています)
STEP1 消失点の位置を決める
模型の写真を上から撮るときの、アングルを決めるようなものです。
消失点の位置を決める時のポイントは以下の2点です。
- 一番見せたい、メインの部屋に置く。
(消失点を置いた位置が中心となり、良く見えるようになります。) - 補助線を伸ばした時に、水平・垂直の線とならないような位置にする。
(壁面を良く見えるようにするためです。)
今回は、広くて家族の団欒ができるリビングに消失点を置きました。
STEP2 補助線を書く
高さ方向の線を書く作業です。消失点と、壁の角や端部を繋ぎます。
補助線を書く際のポイントは、

消失点までの線は端から端までは引かず途中まで書くこと
不要な線が多くなり、わかりにくくなってしまうためです。
STEP3 床の高さを決める
床の高さは任意で決めます。
ここで覚えておくべきポイントは
- 消失点から遠くて狭い部屋の床の高さから決める
- 腰窓の高さは、床のラインを全て書いてから真ん中あたりとして決める
消失点から近い部屋から決めてしまうと、端の方の部屋は壁面だけが見えてしまい、部屋の内部が見えなくなってしまいます。
STEP4 家具・階段・仕上げ材を書く
まず家具・階段を書く
ここでのポイントは
- 家具は図面より少し小さく書く
- 階段は、踊り場を先に書き、段数分の線を斜めにずらしながら書く
の2点に注意しながら書いて行きましょう。
家具は、平面図通りの大きさで書いてしまうと、大きすぎてしまいます。
平面図は目線の高さで切っていますので、目線の高さに家具があることになってしまうため大きく見えてしまうのです。

平面図より若干小さく書いて調整することが大事です
縦方向の線は、STEP2と同様に消失点から線を引くと書きやすくなります。
あとは任意の高さで平面方向の線を書けば立体的に書くことができます。
階段は、踊り場を先に書き、段数分の線を斜めにずらしながら書けば、早く書くことができます。
大きな紙面に大きく正確に書きたい場合は、あとで紹介する
- 家具の書き方
- 階段の書き方
をご覧ください。
これらの手順の通りに書くと補助線が多くなってしまい、小さい紙面に書く場合は補助線がつぶれて書くのが難しくなってしまいます。

ぱっと早く簡単なスケッチでもよい場合は、今紹介した方法で問題ないです。
最後に仕上げ材を書く
家具などを描き終えたらフローリングや畳、タイル等を書きます。
太く書くと家具や壁の存在感が薄くなってしまうので細い線で書きます。
隅の方だけでも伝わりますし、全面書いても良いです。
全面かく場合は、存在感が強くなりすぎないよう、様子を見ながら線の太さを決めてください。
手描きで平面の建築パースを作るための3つのコツ
平面パースを作るためのコツは3つです。
- 細かい線は後回しにすると素早く書ける
- 鉛筆の下書きは薄い線でサッと書く
- ペン書き時は耐水性のペンで書く
それぞれ詳しくみて行きましょう。
細かい線は後回しにすると素早く書ける
やり方を理解したばっかりの時にやりがちな間違いがあります。
手順がわかれば単純な作業なので、細かい線も書いてしまうことです。
あまり細かいところにこだわっていると時間が無くなってしまいます。
線を何本か引いたら全体を一度見て時間がかかり過ぎていないか確認しましょう。
鉛筆の下書きは薄い線でサッと書く
鉛筆の下書きはHBや細いシャーペンを使って薄い線でサッと書くことが大事です。
下書き線を濃く書いてしまうと、
- 書いているうちに手でこすれて汚くなってしまう
- 伸ばしすぎた不要な線を後で消す時に大変
なので、力をぬいてサッと書くようにすると良いです。
ペン書き時は耐水性のペンで書く
全て鉛筆で下書きを終えた後、最後に色を付けたいと思いますよね。
色鉛筆だけでも大変綺麗に見えるのですが、水で溶ける色鉛筆で塗った後に水を少しつけた筆でぼかすと、柔らかい雰囲気になります。
その際、水に溶けるペンで書いてしまっていると滲んでしまうので、耐水性のペンで書きましょう。
図面通りに家具を書く方法を7ステップで解説
①平面図通りに家具を書きます。
②家具の線を壁面まで伸ばし、消失点と繋ぐ(ピンク色線)
③床面の高さの線を繋ぐ(緑色線)
④ボックスの形状にする(水色線)
ここまでで、床から目線までの直方体の形になりました。
⑤座面の高さを決める(赤色線)
床面に対し、座面の高さを任意で決めます。ソファーの場合、床面の高さと目線の高さを比べてみて、半分よりやや下あたりにします。
⑥ソファーの割れ目や肘掛けの線を消失点と繋ぎ(オレンジ色線)、不要な線を消す
⑦ ⑥で引いた線を頼りに残りの線を引き、床面からの高さを見ながら背もたれの高さを決める
正確なL字階段の書き方を紹介
このような階段を平面パースにしていきたいと思います。
①消失点と端部を繋ぐ補助線を引く
この時、奥の方は段を書いたときに見えなくなってしまうので書かなくてOKです。
②踊り場を書き、補助線でつなぐ
③7段+1等分の線を水平に引く(ピンク色線)
8等分なので、7本の線となります。
④踊り場の左上の角と消失点を繋ぎ、1段目となるピンク色線との交点と、階段の上り切った段の端部を繋ぐ(青色線2本)
⑤消失点とピンク色線・青色線の交点を結ぶ(緑色線)
この線が高さ方向の線になります。
⑥段先のの線を垂直に書く(オレンジ色線)
⑦不要な線を消す
⑧5段+1等分する線を垂直に引く(ピンク色線)
⑨踊り場の左下の角とピンク色線の一番右端の線の交点を結ぶ(青色線)
青色線は、段鼻の線の目安になります。
⑩ピンク色線・青色線の交点と、消失点を結ぶ(緑色線)
⑪緑色線・ピンク色線の交点から、水平に横線を引く(オレンジ色線)
⑪不要な線を消す
綺麗な階段のパースができました。
平面パースで素早くプレゼンを仕上げるのが評価への近道
平面パースは、最初は慣れるまで少し時間がかかりますが、比較的早く要領をつかむことができます。
設計の授業のプレゼンだけでなく、住宅の営業や設計の仕事でも、相手にわかりやすく伝えるのに有効な手段です。

身に付ければ大切な財産になりますので、ぜひ挑戦してみてください。
プレゼンをするために必要な情報を他にも配信しています。
▼参考デザイン付きダイアグラムの書き方の記事はこちら

▼おしゃれな建築プレゼンボードのレイアウトの作り方の記事はこちら
