この記事では建築プレゼンボードの作り方と注意すべきポイントについて紹介しています。
卒業設計や課題の提出間際でプレゼンボードの素材がやっと出来上がったのはいいものの、

徹夜明けの頭脳でレイアウトをまとめられなくて
思ったような評価をもらえなかった・・・

レイアウトのセンスがなくてうまくいかない!
建築学科生ならこんな苦い経験をしたことがあると思います。
おしゃれで見やすいプレゼンボードを作る4つのポイントを、実際の作品例を交えながらご紹介します。
プレゼンに使うパースやダイアグラムの作り方も別記事で紹介しているので参考にしてください。


それではレイアウトのやり方を詳しく見ていきましょう!
おしゃれで見やすい建築プレゼンボードを作る4つのコツ
わかりやすく魅力的なプレゼンボードを作るにはコツがあります。
レイアウトをするとき、白紙の状態から考えると行き詰ってしまいますが、コツさえわかれば大丈夫。
おしゃれで見やすいプレゼンボードを作るためのポイントを4つご紹介します。
レイアウトは話の流れと視線の流れを意識すること
・「結論→課題の提示→結論の再説明」を意識する
レイアウトは
- 結論
- 課題の提示
- 結論の再説明
といった流れを意識して作ると、見やすくなります。

プレゼンの役割は「設計した建築を、誰にどのように役立つのか伝えること」です。
自分の建築を「結論→課題の提示→結論の再説明」に当てはめて考えることで、情報が整理された見やすいプレゼンボードに近づくでしょう。
たとえば、「スロープ付きの二世帯住宅」をプレゼンする場合、下記の流れになります。
1.結論 | スロープ付きの二世帯住宅です。 |
2.課題の提示 | ご両親が高齢になったとき、階段を使うのが不安ですよね? |
3.結論の再説明 | この二世帯住宅なら、スロープが付いているので心配ありません! |
読んでいて「なるほどな」と思いませんでしたか?
テレビショッピングなどでも採用している、説得力のある手法です。
「結論→課題の提示→結論の再説明」をベースとして、レイアウトを考えましょう。
「Zの法則」を使ってレイアウトする
「Zの法則」を利用して、プレゼンボードのレイアウトを考えてみてください。
人の目はまず全体を把握するために、Zの順番「左上→右→左下→右」に視線を動かすと言われています。
Zの流れに沿ってレイアウトすると、わかりやすいプレゼンボードを作ることが可能です。
一番に見られる「左上」に重要なパーツを持ってくるといいでしょう。
「結論→課題の提示→結論の再説明」の流れを「Zの法則」に当てはめれば、視覚的にも説得力のあるレイアウトに仕上がりますよ。
補助線を活用してブロックを意識すること
補助線を引き、ブロックを意識しながら各パーツを配置しましょう。
一定のルールに沿って直線的にそろえることで、プレゼンボードに統一感が出ます。
具体的な手順はこちらです。
- メインとなる素材を決める
- メインの素材を配置する
- メインの素材を基準として、補助線を引く
- 他の素材を補助線に沿って配置する
では実際にコンペで作ったプレゼンを元に解説していきます。
メインとなる素材を決める
「これがわたしの作品です」と言えるような、象徴となるパースなどを選択します。
プレゼンボードの主役になるので、最も自信のある魅力的な素材を選択してください。
メインの素材を配置する
メインパーツを決めたら、用紙に配置しましょう。
メインの素材を基準として、補助線を引く
最後にメインの素材の大きさに合わせて補助線を引いていきます。
補助線なしで素材を配置すると、チグハグでまとまりのないプレゼンボードになってしまいます。
他の素材を補助線に沿って配置する
素材の数や要素のヒエラルキー(優先順位)によって補助線を増やしていきます。
余白の大きさが統一されて綺麗にまとまった印象に
補助線を活用することで、ぐっと洗練されたデザインになります。
色味や素材のテイストを揃えて統一感を出すこと
プレゼンボード全体の色味や素材のテイストを合わせると、一気におしゃれな印象を与えられます。
【悪い例の場合】
ピンクだったり青だったり「まとまりのないプレゼンボードだな」と思いませんか?
まとまりのなさを防ぐためには、プレゼンボードのレイアウトをはじめる前に、テイストのテーマを決めることが有効です。
「あたたかみのあるボード」や「近代的でクールなボード」といった抽象的なテーマでも十分効果はあります。
今回は近代的なイメージで青みで統一して調節しました。
「自分の作品を色に例えると何色だろう?」と考えるのもいいですね。
テイストをそろえて、おしゃれで見やすいプレゼンボードに仕上げましょう。
余白や大きさに変化をつけてメリハリを出すこと
メリハリのある見やすいプレゼンボードを作るために、余白や素材の大きさに変化をつける工夫が必要です。
例えばレイアウトだけでも優先順位をつけることができます。
4のところにメインとなるパースが来ないことはわかると思います。
また、「結論→課題の提示→結論の再説明」に沿って素材を用意し、大きさを決めることでわかりやすい表現になりますよ。
- 「結論」一番大きいメインとなるパースなど
- 「課題の提示」文字やダイヤグラムなど。大きさは中~小
- 「結論の再説明」図面やパースなど。大きさは中
一番見てほしいものを大きく配置すると、視線の誘導が可能です。
大きさや余白にこだわることで、メリハリのあるプレゼンボードになります。
プロも使うプレゼンボードを作るのに便利なソフト
プレゼンボード作りに便利なソフトをご紹介します。
2つともプロ御用達のソフトなので、用途に合わせて活用してみてください。
重いデータでもサクサク動くレイアウトの達人Indesign
「Indesign」はプロフェッショナルなレイアウトソフトです。
Photoshopで加工した画像や、Illustratorで作成したイラスト・ダイアグラムなどの素材を、ボードの上に美しく配置できます。
レイアウトに特化したソフトなので、効率よくサクサクとプレゼンボードが作成可能です。
情報の書き足しや編集が楽なIllustrator
ダイアグラムやイラストの作成に役立つ「Illustrator」は、プレゼンボードのレイアウトもできます。
レイアウトの途中で「Illustratorで作った素材を修正や加筆したい」ということが起きても、すぐに対応が可能です。
普段からIllustratorを使用している人は、スムーズにレイアウトができるでしょう。
参考にしたい建築プレゼンボード3選
「参考にしたい」と感じるような、おしゃれで見やすいプレゼンボードをご紹介します。
(中見出し)1.メインパースを大きく配置

ボードの半分以上をパースに使った、メリハリのある印象的なデザインです。
参考:https://www.nikasolutions.com/2018/03/19/nika-takes-top-honors-architectural-design-competition/
(中見出し)2.「Zの法則」で視線誘導

パース→文字→ダイアグラムの順で、Zに沿ってレイアウトされています。
(中見出し)3.明確なレイアウトの流れ

「結論→課題の提示→結論の再説明」の流れが明確で、わかりやすいプレゼンボードです。
まずはマネしながら建築プレゼンボードを作ってみよう
プレゼンや授業が終わったら早めにポートフォリオにまとめておくのが良いでしょう。
作品がある程度できているのとできていないのでは作り直す時間が圧倒的に違います。
参考になるポートフォリオについてまとめている記事もあるので、参考にしながら早めに手をつけておきましょう。

プレゼンもポートフォリオも白紙の状態からレイアウトを考える必要はありません。
最初は誰かのレイアウトを真似しながら作っていくことが大事です。

慣れてきたら少しづつ変えていって自分の味を出していきましょう。
今回ご紹介したプレゼンボードとコツを参考にして、まずはマネしながらプレゼンボードを作ってみましょう。