建築学科を卒業して、あるいは手に職をつけるために未経験から、『CADオペレーター』という仕事を目指している方も多くいると思います。
そして、設計業務のコンピュータ化や、就職活動における売り手市場(就活生側が有利な状態)に伴ってCADオペレーターの需要が増えているのも事実です。
この記事では実際にCADオペレーターとして勤務した私が、以下の3つのことをメインにご紹介します。
- CADオペレーターの仕事内容
- CADオペレーターの1日
- CADオペレーターのぶっちゃけ体験談
それでは順番に見ていきましょう!
CADオペレーターので働いていたときの仕事内容
新規作画
歩道橋の補修設計や、昔の手書き時代の橋梁で、図面のデジタルデータがないものをCAD上で書き起こします。
私が勤めていた設計事務所では、CADオペレーター自らが現場へ行って橋の劣化具合や、階段や手すりのピッチの観察をしていました。
そのため、客先からのデータやGoogleストリートビューを手がかりに、現場視察用の見取り図を、1から作画することもありました。
加筆作画
元弊社では、新規に建てる橋梁はコンピュータ上の自動作画を利用していました。
しかし、自動作画では細部の描写が上手くできていなかったり、製図基準通りになっていなかったりと、さまざまな問題が発生します。
そういった自動作画上のミスの訂正や加筆を繰り返しながら、完璧な図面を作り上げることもCADオペレーターの仕事でした。
図面照査
ほかのスタッフが作画した図面に、部材の計算書とのあいだに間違いがないかをチェックします。
客先に提出するデータにミスがあってはいけません。
そのため、数字一つ一つをしっかりと見比べながら黄色の蛍光マーカーと赤ペンで印を付けていきます。
仕事なのでもちろん責任感を浴びながら背筋が伸びる気持ちで作業していますが、間違い探しみたいで楽しさも感じました。
資料作成
CAD上での仕事ではありませんでしたが、出張へ行く上司の資料作成のサポートや、計算書をExcelやWordで作る作業も多くありました。
Excelでは加減乗除のような簡単な関数から、if関数やround関数などを用いた少し難しい式を組むこともあったので、学生時代の情報処理科目が非常に役立ちました。
CADオペレーターの1日のスケジュールを公開
日によって業務内容に差はありますが、大まかに紹介すると以下の通りです。
- 8:50 始業、今日の業務についてミーティング
- 9:00 図面作成
- 12:00昼食、休憩
- 13:00図面作成
- 17:00 進捗報告会
- 17:30 定時
残業は多く、20時過ぎまでパソコンと向き合うことも多々ありました。
管理職ともなると会議や出張業務もありますが、平社員のCADオペレーターは基本的に朝から夕方までずっと作画作業をすることになります。
また、メールチェックや客先との会議、電話対応などもありませんでした。
このように一日10時間近くパソコンとにらめっこしていたので、もっと眼精疲労のケアやデスクワーカー用のストレッチを取り入れるべきだったと思います。
これからCADオペレーターを目指す方は、ぜひしっかりと自身の身体をいたわってあげてくださいね。
CADオペレーター給料はいくらぐらい?
短期大学卒の新卒、地方在住であることも加味して初任給は18万5000円でした。
短期大学卒の事務系では比較的よい給料に思いましたが、1ヶ月間の出勤日がかなり多かったので時給換算するとあまり高くはなかったです。
CADオペレーターにどうやったらなれるのか
私は大学の進路支援課で先生に候補をあげてもらった事務職のうち、技術職寄りだった元弊社を選んだので使ったサービスは特にありません。
ただ、就活サービスで「CADオペレーター」と検索すると、様々な求人が出てくるのでそちらを利用するのが安心だと思います。
CADオペレーターの体験談ぶっちゃけ
今思い返せば、CADオペレーターとして働いた1年間は辛いことの方が多かったです。
もちろん、作画作業や図面照査自体は楽しかったですし、図面が完成したときの喜びは大きいものでした。
しかし、図面が完成するまでの過程や、職場環境に対してのストレスは多くありました。
作画中に設計条件が変わり、また最初からやり直しになることが多く、上司の指示が理解しづらいためなかなか意図を汲めず差し戻しになることも多々ありました。
また、これは私の勤め先がたまたまそういう風潮だった可能性もありますが、残業が多く社員全員で居残りすることが美徳なところもあり、辟易としてしまいました。

いまはCADオペレーターから転職してWebライターをしてます
そんなこんなでCADオペレーターの仕事は1年で辞めることになり、今はWebライターとして活動しています。
辞めた理由は先述の通り、残業とストレスが多かったためです。
元々身体があまり強くないので、度重なるオーバーワークで心身双方に疲労が溜まり、体調を崩してしまいました。
そのため退職後は、正社員時代に蓄積した心身の不安定を解消するために、また以前より自分のあらゆる知識やスキルを活かしたお仕事をしたいと思っていたのもあり、「フリーランス」という働き方を選びました。
実は私は、退職後すぐにフリーランスとして働く予定はなく、はじめは副業感覚で行うつもりでした。しかし、退職直後にハプニングに見舞われたのです。
当初の予定では、羽休めも兼ねて数ヶ月間、オーストラリアへ短期留学に行くはずでした。そしてその間にWebライターとしての働き方を学ぶつもりでした。
しかし火災や流行病によってそれらの予定はキャンセルになってしまったのです。
結果的に留学は叶わず、いきなり完全在宅の『フリーランスWEBライター』になってしまったのです。
経緯やハプニングがどうであれ、私はこのタイミングで転職してよかったと思っています。
こうして私はCADオペレーターの職務を1年で離れる決断をしましたが、決してこの業種が悪いわけではありませんし嫌いになったわけでもありません。
たまたま私にとって『CADオペレーター』としての働き方に馴染むことができなかっただけだったと言えるでしょう。
設計図面が完成したときの喜びは計り知れません。
トライアンドエラーの繰り返しが得意な方や、仲間と1つの業務を完遂する喜びを味わいたい方にとっては最適な業種だと思います。
