「ディスプレイデザイナー」という横文字に憧れて、この分野に入ってくる人が多数います。
一方で、ディスプレイの移り変わりについていけなくて辞めていく人も多数います。
常に2シーズン先(夏にはクリスマスデザインを考える等)を読んでいかなくてはいけません。
シーズンは1年に4回、年行事は1年に多数ありますので、そのスピードでデザインを起こしていける人がこの業界で生き残れます。
ディスプレイデザイナーとは?
displayとは「展示」「陳列」という意味で空間デザインの分野のひとつです。
限られた空間の中で展示物や商品を魅力的に演出し、感動の伝達をいうミッションを持っています。
1970年日本万博博覧会をきっかけに、この分野は大きく飛躍し、高度成長期にはさらに技術の高度化を遂げました。
近年、メディアの複合化によりディスプレイデザインも多様化し、デザイナーのクリエイティブワークは1㎡のショーウィンドーから都市計画にまで及んでいます。
ディスプレイデザイナーの仕事内容
ディスプレイデザイン分野は多岐に渡り、街中のあちらこちら、もしくは街そのものにこれが施されている可能性もあります。
商業空間であれば、間違いなくこの分野が活用されています。
具体的な仕事内容
私が働いていたのは、展示会のブースデザインを主に行うデザイン会社で、展示会以外にも、アニメ関連イベントやテレビ局企画開催イベントをしていました。
イラストレーターやフォトショップ等、Adobeソフトを使用し、展示会やイベントを盛り上げる装飾を制作します。
また、ブース設計をするためにVectorWorksという建築専門ソフトの使用も必須です。
各種展示会は短くて3日、長くて2週間程度開催されており、ほぼ毎日違う展示会の出展ブース制作の仕事があるため、自分がデザインしたものを見に行く暇はほとんどありません。
ですので、これをつくったんだ、という実感を得られる機会が無く、毎日やってくる新規案件に挑んでいく状態です。
案件に取り掛かる際は、営業から聞かされたお客様の要望(または、お客様のもとへヒアリングしに営業と一緒に出席する場合もあります。)をまとめてデザインに落とし込んでいきます。
次に自分の提案をデザインに盛り込むことで、提案書のデザインパターンが2案、3案と増えていきます。
その提案書をお客様へ提出し、デザインを1案に固め、最終チェックでお客様の了承を得ます。
最後に施工会社や印刷会社に発注し、ここでこの案件が手を離れることになります。
1日の流れ
9時に出勤し、朝のデザイン部ミーティングで当日の作業確認を行います。
10時頃に営業部との新規案件ミーティングを行い、作業内容を聞かされ、こちらのスケジュールとのすり合わせをします。
11時頃、今行っている案件の発注を済ませます。
午前中はほぼ、ミーティングと発注の電話確認で終わります。
午後から制作作業に没頭出来ますが、終業時間になっても終えられる、ということはまずあり得ません。
作業内容が複雑で膨大なので終えられる頃には深夜になっていることがよくあります。
給料
残業時間がものすごいことになってしまうため、残業代は出ません。
出ても一律で微々たるものです。
なので、入社する際の給与の取り決めが大切だと思います。
そこで20~25万円を提示すると、後々、悲しいことなります。
自分の時間を売っている自覚を持って30~40万円を提示することが大切です。
抱える案件を増やせばそれだけ昇給の機会はありますが、私のいた会社では一度も昇給したことがありません。
やりがい
自分の手でデザインを起こしていく、ということにやりがいを感じます。
しかし、その100倍、疲労感や焦燥感が感じられます。
ディスプレイデザイナーになるには?
ディスプレイデザイナーになるには以下3つの方法があります。
- 独学
- 大学でデザインを専攻またはデザイン系の専門学校
- デザイン会社で修行する
です。
それでは1つずつ見ていきましょう。
独学でディスプレイデザイナーになる
分野が全く違うことを専門にしている人には入社は難しいかもしれません。
しかし、自分の作品集(ポートフォリオ)をイラストレーターで制作出来るならば、その道に進めるかもしれません。
一番簡単なのは、ショップ店員になり、お店のディスプレイを考えることです。
これであれば、実績としてカウント出来ますし、もはやディスプレイデザイナーとして名乗ることも出来ます。
大学でデザインを専攻してディスプレイデザイナーになる
美術大学、芸術大学、それ以外の大学では工業学部で機械設計や工業デザイン、AI技術を学んでください。
ディスプレイ会社に入社するからといって、空間デザイン分野を学んだ人ばかり、というわけではありません。
手書きで絵を描ける技術、図面を読み解ける技術、最新工学研究を必要とする場面がいくつも出てきます。
その中で、自分の強みはこれだ、と言えるのが重要です。
デザイン会社に入社しながら学ぶ
最も一般的なのは、美術大学、芸術大学を卒業して新卒としてデザイン会社に入ることです。
デザイン会社でも様々ありますので、ディスプレイを専門に行っている会社だとか、サイン関係や内装設計の建築会社が良いです。
狭き門ですが、マネキン会社も挑戦してみても良いと思います。
マネキン会社ではディスプレイの底の底まで知っていますので、いち早く技術と深い知識が身に付きます。
どんな人がディスプレイデザイナーに向いてる?
制作のノウハウが身に付き、手に職を持つには最も効率がいいのです。
サラリーマンとしてずっと会社にいるタイプよりも独立心が強く、自分で会社をつくりたい方に向いていると思います。