この記事では、建築学生の実際のスケジュールと上手く時間を使うためのコツについて書いてあります。
これから始まる大学生活に胸がときめかせていることでしょう。

生活に密接している”建築”っていいな

建築家になってデザインするってカッコイイ
など、建築学科によいイメージを持って入学された新入生も多いと思います。
しかし、実際に入学してみると、先生方や先輩方に「覚悟するように」と言われ、新歓で他学科の先輩に自己紹介すると「え!大変だね」「やばいね」と、やや哀れみの目を向けられることもしばしば。
この記事では
- 学年別の実際のスケジュール
- 建築学科を乗り越えるための時間の上手な使い方
について具体的な例も交えながら書いています。
最後まで読むことで、上手な時間の使い方を身につけ、忙しいと言われる建築学科も難なく乗り越えられるでしょう。
建築学生のスケジュールは2パターンに分かれる
さて、肝心のスケジュールですが、実は1年365日、毎日毎日、忙しいだけの生活を送っているわけではありません。
「成果物」が求められる場合、当然ですが、忙しさにはムラがあります。
建築学科が建畜学科と呼ばれる理由は、

”忙しい・大変な時”の忙しさが一般的な大学生と比べると異次元だからです。
また、レポート課題と違って答えがないモノを課題として求められるので、一般的な課題と大変さのベクトルが違うのです。
ちゃんと時間の使い方を理解していれば、乗り越えられない大変さではないです。
中には、体調を崩してしまい短期入院して課題がピンチという人もいたので、体調管理には気をつけなくてはいけません。
私は大学生の時、設計課題をギリギリにやるタイプだったので辛かった記憶も多いです。
建築学生の忙しさの「ムラ」とやらを2つに分けて説明します。
通常運転時
さほど忙しくない時、つまり設計課題の締め切りまで時間がある時ですね。
座学の授業でレポートが出る時もありますが、小一時間で済んでしまうので苦ではありません。
前回の課題提出のせいで寝不足なことが多かったので、たくさん寝て、次の課題提出のための体力を蓄えていました。
あとはサークルへ行ったり、バイトをしたりと、他の大学生と大きくは変わらないスケジュールだと思います。

テスト前 / 課題提出前
いわゆる「修羅場」です。これが修羅場でなくて何なのか。
課題の大きさにもよりますが、トレースは2週間ほど、設計は3~5週間ほどで一つの課題が出され、毎週の授業で小さなノルマをこなして最終提出をするイメージです。
ですから、この周期で大変なタイミングがやってきます。
ちなみに私は大変な時は3時間睡眠を取ったら

やばい3時間”も”寝てしまった
と絶望していました。
しかも、学期末だと、他の授業の大きい課題、試験勉強も考えなくてはなりません。
時間の使い方が非常に重要な時期です。

【学年別】実際の建築学生の1日のスケジュールを公開
建築学科生は他の学科と比べてもとても忙しいと言われています。
課題の提出まえには睡眠時間も削って作業を行うのでかなりきついと思います。

私がまだ時間の使い方がわかっていなかった大学生の時のスケジュールを公開します。
学年によっても時間の使い方が変わってくるので、それぞれ表にしてみました。
実際のスケジュールを見て行きましょう。
1年生は設計以外の授業も多くて時間がない
09:00~18:00・・・授業、下校 18:00~19:30・・・帰宅後、課題開始 19:30~20:00・・・夕食 20:00~00:00・・・課題 00:00~00:30・・・入浴 00:30~04:00・・・課題 04:00~06:30・・・睡眠 06:30~07:30・・・起床、支度 07:30~08:40・・・通学 08:40~09:00 ・・・提出 |
私の一年生の時の、課題提出直前の様子です。
課題の進捗状況によって睡眠時間が増減していました。

一年生の時は他の教養の授業が多く、設計課題提出は1限にあるので時間に追われている状況になります。
後期は製図の課題提出と、図学(パースの描き方)、実験があったので、1週間のうち3日、上のようなスケジュールで過ごす時も多かったです。
2年生は設計が始まり作業時間は自分次第に
09:00~17:00・・・授業、下校 17:00~19:30・・・帰宅後、課題開始 19:30~20:00・・・夕食 20:00~00:00・・・課題 00:00~00:30・・・入浴 00:30~05:30・・・課題 05:30~06:30・・・起床、支度 06:30~07:30・・・通学 07:30~09:00・・・大学で課題の続き 09:00~12:10・・・1、2限の授業受講 12:10~13:00・・・課題の最終仕上げと提出 13:00~・・・・・・先生方の提出チェックが終わるまで授業が始まらないので、その時間で昼食 |
2年生からはトレースではなく、自分で建築を考える「設計課題」が始まります。
トレースとは違い自分で考える課題なので、いつまでもブラッシュアップしてしまう傾向にあります。

周りの人を含めて、提出直前の睡眠時間は少なくなっている人が多いです。
模型の提出が求められるので、満員電車で他の方の迷惑にならないよう、早く大学に来て課題を進める日も多かったです。
私の大学では泊まり込みが認められてたので、夜通し大学にいる人も学年の半数はいました。
3年生は泊まり込みで設計に没頭する日々
09:00~10:30・・・通学 10:30~13:00・・・課題 13:00~14:00・・・昼食 14:00~20:00・・・課題 20:00~21:30・・・帰宅後、夕食 21:30~00:00・・・課題 00:00~00:30・・・入浴 00:30~05:30・・・課題 05:30~07:30・・・仮眠 07:30~08:30・・・支度 08:30~10:00・・・通学 10:00~13:00・・・課題の仕上げと(中間)提出 |
3年生前期の設計では、大型集合住宅の設計を3、4人でグループを組んで行う課題があり、上のスケジュールは中間提出の時の様子を示しています。
出題から最終提出まではおおよそ2か月弱ありました。
設計の授業は月曜日にあったので、日曜日は休日ですが申請を出して製図室を開けてもらい、メンバーと設計に明け暮れていました。

最終提出の時はメンバーでホテルを取ったりして
2泊3日、家に帰らないことも。
ウィークリーマンションを借りているチームもありました。
3年生の夏は、学校によってはインターンが本格化する時期です。
ESの提出締め切りと、課題の修羅場が重なったりして、時間を作るのに苦労しました。
そうやって参加できることになった5daysのインターンも、期末試験の時期に被っており、試験勉強と試験そのもののスケジュールとのやりくりが大変でした。
この時期が大学生活で一番大変だった気がします。
4年生は卒業設計と論文をゆっくりとやる
私は意匠系の研究室に所属していたので、卒業制作を選択しました。
前期にはテーマを決めるためのリサーチをしていましたが毎日7時間の睡眠をとり健康的な生活を送っていました。

後期になっても設計がはじまりますが、スケジュールはあまり変わらずここで初めてゆったりとした大学生活を送ることができました。
09:00~13:00・・・自宅で設計作業 13:00~14:00・・・昼食 14:00~14:30・・・登校 14:30〜20:00・・・研究室で模型作り 20:00~21:30・・・帰宅後、夕食 21:30~00:00・・・リサーチ 00:00~00:30・・・入浴 00:30~07:30・・・睡眠 07:30~08:30・・・支度 08:30~10:00・・・通学 10:00~13:00・・・ゼミで教授とエスキス |
卒業研究・論文を選択した友人の場合も、授業は研究室のゼミ以外なかったと聞いています。
そのため、スケジュールの管理は非常にしやすく、毎日8時間ほど寝て、ゆったりした生活を送っていたそうです。
ただ、私の場合、修士課程へ進学することにしたので、院試の勉強がありました。他大学への進学を希望していたので、直前期は休憩を入れながら8時間ほど勉強していたでしょうか。
入試が終わってからは設計と自分の勉強とアルバイトだけの生活になりますが、ある程度コツコツ進めていたので、生活スケジュールが大きく崩れることはありませんでした。
建築学科を生き抜くための1日の時間の使い方の3つのコツ
提出直前ではなく最初の授業からこつこつ提出物を作る
そもそも設計課題は、自分の建築に対する概念・哲学などを形に落とし込んでいく課題と言えます。
つまり、課題の終わりは、進めれば自ずと来るものではなく、自分で決めていかなければ提出できません。
何回もエスキスして考えてを繰り返し、提出の1週間前に提出物を作り始めても遅いのです。
なので私の場合は最初に提出するものを決めてしまいました。
例えば、
- 敷地の分析まとめ
- 敷地周辺模型
- メインコンセプト(問題点と解決策)
- 平面図
- 断面図
- 模型
- コンセプトが伝わるパース
あとはこれを毎週のエスキスで1つずつ作っていくだけです。
ここでのポイントは完成度はそんなに高くなくていいということです。
敷地模型やリサーチなどはコンセプトが変わっても使い続けられるので最初に作るのがいいでしょう。

提出できる内容があれば、あとはレイアウトと、
ちょっとの手直しをするだけで提出できます。
直前にまとめてやろうとすると、時間が限られてしまうため半分くらいは提出出来なくなってしまいます。
最終提出物を複数回に分けて制作することが上手な時間の使い方のコツです。
- 最終の提出物を決める
- 毎週のエスキスで1つずつ材料を作る
- 完成度はそんなに高くなくて良い
- 最終週はレイアウトと手直しだけにする

自分の得意な武器を見つける
人間、誰しも得手不得手があります。時間を効率的に使うには、それを見極めることも大切です。
例えば、私の周りに模型を作るのが苦手な子がいました。
しかしその子は絵とパースを描くことが非常に得意だったので、いつも模型は早々に切り上げて、その代わり水彩の綺麗なイラスト・パースを描いて提出し、成績を取っていました。

私は反対に模型制作の方が得意で、photoshopも扱えたので、模型写真に凝って提出することもありました。

建築学科では、成果物のクオリティに加えプレゼンでも評価されます。
条件を満たした上で、総合点で評価されるわけです。

自分が苦手なことにいつまでも時間を費やすのではなく、得意なことを見極めて、手を掛ける場所に緩急つけることも大切です。
手書き、3D、模型など自分の得意なことを見つけて極めましょう
- 建築学科は総合的に評価される
- 得意なことを見つけよう
- 得意なことを中心のプレゼンテーションを計画しよう
それぞれ練習の仕方などまとめてあるので参考にしてください。

アルバイトはシフトに融通が利くものを選ぶ
これはあらゆる場所で言われていることですが、アルバイトはシフトの融通が利くことが大切です。
なぜなら、建築学科の忙しさにはムラがあるからです。
週2日必ず出ないといけないバイトを選んでしまったら、設計などの作業が出来なくなってしまいます。
かといって、建築学科は模型代などでお金が飛んでいきます。

多い人は1つの課題を出すのに数万円かけることも!
私も最初は親にお金を出してもらっていたのですが、専門書は高いし、製図台やパソコンなども買ってもらっていたため、だんだん申し訳なくなり、自分で出すようになりました。
建築出身の人が多い設計事務所の模型バイトや日雇いのバイトは融通がききやすくオススメです。
- アルバイトはシフトに融通がきくものを選ぶ
- 建築出身者の多い設計事務所の模型バイトは融通がききやすい
- 単価の高い日雇いなどは自分の行きたい時にいける
建築学生でもやりやすいバイトについては別の記事で詳しく解説してあります。

建築学科は時間の使い方次第で楽しむことができる
忙しい、大変と言われる建築学科ですが、私の周りにはなんやかんやで、その大変さを楽しんでいる人が多かったです。
建築学科ではこのような生活を送ることで、たくさん建築の勉強をしました。
お陰様で、とても力がついたと思います!
この記事が参考となって、皆さんが良い建築ライフを送れたらと思っています。最後まで御覧いただき、ありがとうございました。